Love Like Pop 7


2002年11月13日 大阪・フェスティバルホール
1.赤いランプ
(MC)
2.あなたと握手
(MC)
3.親指の使い方
4.あなたの唄
(MC)
5.今度までには
6.前ならえ。
7.鳩になりたい
(MC)
8.それだけ
(MC)
9.レンゲ畑(弾き語り)
(MC)
10.心に乙女(弾き語り)
(MC)
11.クローゼット
(MC)
12.Power of Love
13.相合傘(汗かきMix)
14.mix juice
(MC)
15.be master of life

(encore)
16.ナキ・ムシ
(MC)
17.マント
1年以上ぶりに見るナマaiko,今年は5月のライブハウスツアーも7月のイベントライブも,ことごとく抽選に外れてしまい全く見る機会が無かった。しかも,12月の追加公演の案内も届き,ファンクラブ優先権も獲得していたが,年末年始の状況が今イチはっきりしないため,権利を流してしまわざるを得なかったという状況で,本日のaikoライブを迎える。
大阪では,既に10月にここで1回行われ,昨日もあったので,今日が3回公演の最終日。フェスティバルホールへは,いつも通りに西梅田の堂島地下街を南へ,渡辺橋を越えて歩く。正面からエスカレーターを上がると,「もぎり」に向かっての左手には,グッズを買い求める長蛇の列。ネットでの情報で,いくつか見繕ってはいたが,ここで並んでいては間に合わないかもしれないので,「おそらく通販があるだろう」と,いつもどおりの推測して場内へと急ぐ。今回の席は1階BOX席E14番。ステージに向かってBOX席の一番右端。通路から一段高くなっており,距離も近くもなく遠くもなく,しかも前後の幅が広く,端なので横にはスペースがある。ハッキリ言って非常に良い環境。風邪気味の日々が続く身にはありがたかった。
開演予定少しを過ぎた18時35分,場内にブザーが鳴り響く。客席も人で埋まり開演を待っている。ブザーの後に,The Beatlesの「Julia」が流れ,いつしか,その声がaikoの声に変わっている。それだけで場内は大騒ぎ。
スピーカからはJuliaに変わって曲のイントロが流れはじめ,黒の薄い幕が左右に引かれて…ステージ上にはaikoの姿が。まず最初は「赤いランプ」。衣装は胸にゴースト(幽霊?)の模様が描かれた白Tシャツ,黒っぽいジーンズにデッキシューズという,いたってカジュアルなもの。間奏で「ただいま〜」と挨拶,既に総立ち状態の客席も大歓声で応える。
曲終わりで,再度お客さんへ「ただいま〜」,「みんな元気か!」,「今日はたっぷり楽しんでくださ〜い」と軽く挨拶してから「あなたと握手」。歌唱後に,再三のご挨拶。「改めまして,aikoです!」,そして,「2階,1階後ろ,1階前〜」とブロック別に客を煽る。盛り上がったホール中から「aiko」,「アイコ」,「あいこ」,「愛子」などと名前を呼ぶ呼ぶ。aikoも「あいよ!」と返事するが応えきれない様子。
MCでは「珍しく天気も晴れて」,「晴れ女や」と,天候が良かったことにご満悦のaiko,で,「学校はどうよ? バイトはどうよ?」という質問に手を挙げて答えているカップル客の男性を見つけ,「アチチか? 彼女は“もう止めてよ”って言うてるみたいやなあ」と冷やかしたり,「風邪には乾燥がダメなので,今日はいっぱい汗をかいて,その汗で湿気をウェットにして」などと,ちょい無茶なことも言ったりして,「今日のライブは皆のパワーに掛かってます」と,再度煽ってから次の曲へ。「親指の使い方」,「あなたの唄」,旧作と新作の2曲が続く。途中でステージ前方に進み,客席の至近距離で手を振るというサービス付き。
その後のMCでは昨夜の出来事が語られる。このツアーで初めて,電源さんからバスの運転手さんまで含めて,本当にスタッフ全員で呑みに行ったらしい。しかも,その場所が自称「ジャズシンガー」のママがいる「ミラーボールが回るイタ飯屋」という不思議な店。糖尿病のスタッフさんが一気呑みをしたり,キーボードの「たつたつさん」が,またもや?全裸になってカブトムシを弾き語ってたり…aikoがいることを携帯で中継する客もいたとか。とにかくトークもaiko節全開の爆笑モノ。
トーク中に,ドリンクを口にしたが,それは「大根ハチミツ」らしい。客席から味を尋ねられたが,あまり美味しくはないようだ。さて,次の唄,「女の子の胸の奥底にある気持ち」,「嫌な気持ちもあったりします」,「それを思い切って歌にしました」と紹介して,「今度までには」,「前ならえ」,「鳩になりたい」を連続で。
次のMCはしんみりとした内容。「関西人には相方的存在がいますよね?」,「ちょっと吉本的だけど」,「親,きょうだい,友達,会社の人とか」,「この人が私には必要」,「いないと寂しい,声を聞きたいと思うような」,「その人が好きで,誰にも代えられない気持ち」,それらの気持ちを込めた作った曲があります。紹介されて唄います「それだけ」…場内立ち止まってじっくりと聞いています。途中には意味深な詩もありますが,この歌は鳥肌モノです。
その後,キーボードがステージ上に運ばれてセッティングされます。その間に「女子〜,男子〜」と場内を景気付け。無事に据え置かれたキーボードに向かうaiko,客席にも「私も座ったからみんなも座ろう」と着席を促します。さて,ここからは恒例の弾き語りタイムです。
まずは即興で軽く1曲。ネタは「aikoデジカメを購入」のようです。「ただ今,帰りました〜」,「デジカメを買っちゃいました」,「けど,東京では絶対にまけてくれない」,「そこを何とか頼みますわ〜とお願いしたら」,「最後には2000円まけてくれました」というような内容。さすが関西人や。値引交渉の文化が染みついてますな。で,そのデジカメ「サイバーショット」を楽屋から持ってきて貰い,撮影大会。「すごい,2階まで映ってる,私も入ろ」とウキウキ気分でシャッター切りまくりのaiko。この写真は,ファンクラブの会報に載せるつもりでいるそうです。
MCでは9月4日にリリースされたアルバムに触れる。ライブでやりたい色々な曲を入れた「いのちの結晶」と表現し,いつもの初回版企画「ケースをバラす」ことについて説明,いわゆる「どっきりオマケ」の種明かし。客席に「知らなかった人は手を挙げて」と言っても,かなり少なかった。しかも,運が良いのか悪いのか,その説明中に遅れて入ってきた客がいたので,その人を集中砲火。
そのようなオマの原点でもあるボーナストラックに収録されていた曲,インディーズ時代の曲でもある「レンゲ畑」を唄う。2番の歌詩もあるんですねえ。で,この歌には英語の詩もあるけど,英語と言えば,開演前に掛かっていた「Julia」についての裏話。「LとRの発音があ〜」,「Mを“エンム”と言ったり」などと,きれいな発音をするのが難しかったらしい。終演時にも掛かるということなので楽しみ。
弾き語りの2曲目はライブでやりたいと思ってアルバムに収録した「心に乙女」,黒い背景に小さな点を投影し,さながら夜空のようです。終わってセットチェンジ,どこからか賑やかな音楽が流れてきました。通路を4人のホーン隊がラッパ音を響かせて練り歩き,その後ろには「くいだおれ人形」の格好をした大太鼓が続いてます。そのチンドン隊が通路を通ってステージに向かっている間に,バンド機材のセッティングも終わり,音楽の中aikoが再登場。賑やかに「クローゼット」です。
衣装も,赤と黒のチェックのベストを着て,カンカン帽をかぶっています。曲の間に,金タライやバケツを太鼓代わりに叩いたり,バンドメンバーとダンスをしたり,客席だけではなくステージ上の出演者自らが大いに楽しんでいる様子。最後には全員でポーズを決めてご挨拶。ここで帽子を投げて客席を喜ばそうとするが,投げマネで終わる。残念ながらも場内には笑いが広がる。
どうやら,カンカン帽は結構なお値段がするらしい。しかもaiko自ら「可朝さんが,すごく入ってるよねえ」と発言。「ボインは〜♪」でお馴染みの噺家,月亭可朝師匠ですな。大阪,しかも,ある一定の年齢以上でないと判りにくいネタですなあ。それはさておき,「今回も素晴らしい楽器と出会いました」,「タライちゃんです」,「いい音出して,ホンマかわいいわぁ〜」,「みんなも今日,お風呂に入って洗面器でリフレインするように」,「今日のライブはお風呂でそれをやって初めて“お疲れ様”です」と,タライの素晴らしさに熱弁を振るう。
さて,後半戦スタート,「みんな元気!」と2階から順に客席を煽ります。1階,そして,バンドメンバー,ここでも終わらず,サイドスタッフ,照明スタッフ,PAスタッフ…続く続く。ガラスの向こう側の照明さんが,呼ばれたら「オー」と紙に書かれたものを見せて応えている姿には爆笑です。最後には,やはり「警備のお兄さん」まで煽っています。それにちゃんと応えている警備の人。毎度毎度です。
「声を出して行こう!」aikoの掛け声で,さらにヒートアップ,「Power of Love」,「相合傘(汗かきMix)」,「mix juice」の盛り上がり曲が3つあり,最後にはバンドのメンバー紹介が。名前を呼ばれて独奏するのは変わりないが,今回は会場・公演日ごとにテーマを決めているようで,本日は「アニメソング」らしい。「アルプスの少女ハイジ」や「ガッチャマン」はよく判ったが,他は何だったんだろうか? 途中「イエローサブマリン」が流れた時は一瞬「??」だったが,考えれば,確かにアニメソングですなあ。
「まだまだ元気?」,「大丈夫?」,「最後の歌です,全てのパワー出してや!」と,ラストにもうひと盛り上がり「be master of life」,歌唱後に「ありがとう,バイバーイ」と言ってステージを下手から降りる。20時半頃だったか。
客席からはアンコールの声が出ているが途中からお決まりのaikoコールに変わり,さらにサイドスタッフが客席を煽り始めます。数分後,aikoが衣装を替えてステージ上に再登場。黒っぽいツアーシャツにパッチワークでできたスカート,首からはスタッフパスをぶら下げて,白いブーツを履いてます。
MCでは「もう少しお付き合いください」,「みんなの笑う顔が見られてホンマ嬉しい」,「ここで唄えて本当に良かった」,「死ぬ気になって唄います」と,自分自身が歌手として大勢の客の前で唄える喜びを噛み締めるようなコメントを並べ,唄います「ナキ・ムシ」を。個人的にも好きな曲だが,今回はホーンを響かせ,昭和のムード歌謡っぽい演出だった。それはそれで味があってなかなか面白い。
続いて,「レコーディングをしました」と話すと,客席からは「何の?」,「新曲?」と質問が飛ぶ。正解は12月にリリースされる「30周年記念,ユーミントリビュート」で,本人直々に「セシルの週末」を唄って欲しいと言われたそうだ。そんなこんなで本当に最後の曲へと進みます。アルバム収録曲で,まだ唄っていなく,しかも,PVまで作って貰った…長時間のPVなのでなかなか放送されない,あの歌ですね。「PVは私が生きている記念になります」,「そして,PVを作ることで,曲に対して新たな感情も芽生えてきました」と冒頭に説明した後,aikoが「犬と遊ぶ12歳のaiko」が登場するドラマ仕立てのPVストーリーを語ります。
そして,「彼女が愛おしく思えてきて泣いた」,「好きなことやってる人,やれていない人,やれるように努力している人」,「悩み,迷い,とまどい」,色々なことがあるけれど「aikoはPVを撮って“もっとがんばろう”と思いました」,そのPVの曲が最後の歌になるようです。「一緒に頑張ろうという歌です,聴いてください」とコメントとともに唄います,「マント」を。歌い終わって最後にステージ前方に出てきて,バンドメンバー全員とつないだ手を挙げて声援に応え,深々と一礼。
バンドメンバーがステージを降りた後,aikoが1人で客席に対して挨拶。地元の大阪で歌うのは,全身の毛穴が開くほど嬉しいけど,実は「身が引き締まる」思いがしているとか,こうやって歌えていることに感謝していることなどを切々と述べる。12月の追加公演についても触れていました。なんか長い間,話をしていたような感じがする。aikoがステージを去って場内に「Julia」が流れたのは,21時を5分ほど過ぎていた頃だっただろうか。
今回は,ゆったりと見ることができたのは個人的には非常に良かった。それと,新アルバムからの曲が多く,これまで「お約束」的なことをやってた,「イジワルな天使よ 世界を笑え!」と「赤い靴」が唄われなかったのは意外に感じられた。それと,aikoのコメントが「しんみり」としたものが,いつもよりまして多かったように思う。特に精神論的なものや感謝の念を表すものを強く感じたので,何かあったのかなあ?と余計な邪推をしてしまいそうだ。事情の詳細まではよく判らないけど。


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