BABY PEENATS
MEETING vol.1


2001年03月26日 大阪梅田・UMEDA HEAT BEAT
1.ロージー
2.甘やかな身体(「キリンジ」のカバー)
3.ニットキャップマン(「ムーンライダース」のカバー)
4.流星都市(「小坂忠」のカバー)
(質問タイム)
(抽選会)
(レコーディング)
(マイク争奪ジャンケン大会)
5.桜の時
6.初恋
(写真撮影)

(encore)
7.アカペラで即興
今年初の生aikoは,これまでのライブとはちょっと違う。ファンクラブ主催の会員限定イベントである。他の歌手・アーティストでもそのような催しがあるようだが,aikoについては全く初めてのこと。どんなステージを見せてくれるのか大いに期待。
季節もめっきり春めいてきて温かいので,会場のUMEDA HEAT BEATまで愛車の「赤いママチャリ」をころがして,到着したのが開場時刻の午後6時半。入口には既に長蛇の列が出来上がっている。最後尾は遙か遠く向こうの方。地下道を歩いて行ってひとまず並ぶ。滞りなく入場は進んでいるが,私より後方に新たに並ぶ人は少ない。手元の整理券は534番なので,本日の入場者数は600人前後といったところかと思われる。
20分ほど待って,ファンクラブイベントということで係員に「会員証」を見せてチケットをもぎってようやく入場。順番待ちの時にアナウンスがあったように,グッズの販売は無く,用意されていた座席240席も既に埋まっているので,後方でのスタンディングであった。私はライブハウスではいつも最後方に位置取るので全く問題はなく,いつものように後方中央部に置かれた調整卓の前に落ち着く。
この場所でaikoを含め何度かライブを見てきたが,今回は「人でいっぱい」という印象は無くゆったりとした感じ。スタンディングなので前方のステージが見えにくいのは致し方がないが,圧迫感が無いだけゆったりと楽しめそうな雰囲気。
開演時間の午後7時を5〜10分ぐらい過ぎた頃,客席の照明が落とされ,子供の声?で「BABY PEENATS…」とオープニングが流れ,ステージ上にaikoが登場。スタンディングスペースの客は前へ前へと押し進むが,ライブの時のような勢いは無い。大声で「イェーイ!」,「aikoおかえり!」と声援は飛んでいるが,その様子に「座ってるから不思議」と,aikoも少しとまどっているような感じらしい。
本日の衣裳は,胸にプリントの付いた白Tシャツにジーンズというシンプルなもの。「初めてのファンクラブイベント,楽しんでください」と挨拶の後,本日の出演メンバーの紹介。キーボードの島田さんとギターの加納さん(字あってる?)がステージ上に登場。「今日はaikoの曲以外,カバーも歌います」と話すと客席からはどよめきが起こる。果たして何が聴けるのか?
「一曲めはインディーズの頃の歌から」と,まずは「ロージー」を。バンドサウンドに慣れてしまった耳には,キーボードとギターのシンプルな伴奏の中で歌うaikoの声は新鮮に聞こえてきます。歌唱後,「このCDは自分で(CDショップまで)担いで売っていた」,「今はファンクラブの通販でしか買えない」,「何かやらしいなぁ〜(笑)」とのコメントがあり,次はカバー曲を。
「みんなはキリンジって知ってる?」と問いかける。場内の反応はイマイチのよう。「aikoが大好きな2人組」,「相撲取りの麒麟児ではないよ」と予想されたボケ?に続けて「甘やかな身体」を唄う。
次もカバー曲を…その意図はaiko曰く,「みんなに,あっこんな歌もあるんや,aikoはこんな歌聞いてるんやと知って貰って」,「aikoの好きな歌をみんなにも聞いて欲しい」というような意味合いがあるらしい。「次はムーンライダースの歌で…」,「釣り好きで“コピー”を考えたりしてる人が作詞で…」,「誰やったかな…」と話すと,客席から「糸井重里」と答えが返ってくる。「そうそう,糸井さん」と納得のaiko。
「これは“ホームレス”の事を詠った悲しい歌です」と説明の後,「ニットキャップマン」という歌を唄う。確かに悲しい結末の歌だ。
もう一曲,カバーが続きます。先日出演した「LOVE LOVEあいしてる」。そこでaikoは「シュガーベイブ」の歌を歌ったが,その選曲の際にボツになった「小坂忠の“流星都市”」です。いずれも1970年代の曲だが,どうやら後者は「年代が古すぎるのでボツ」になったらしい。今日はそれを存分に唄います。
4曲が終わり,バンドメンバーは退場。場内照明が明るくなり,ここから「質問タイム」が始まります。事前に募集していた質問ハガキを持ち込んで紹介,ファンの質問に直接回答するという企画。aikoは「ラジオみたい…」,「カウントダウン関西TOP40〜」のようなことを言いながら最初の質問ハガキを読む。そして質問者を場内から探し出し,その人に係員がマイクを渡して直接話をする。ファンにとっては嬉しい企画です。約10名ほどのハガキが読まれ,その数以上の質問が行われた。例えば,「肌が綺麗な秘訣」,「おでこに冷えピタシートは何枚貼れる?」,「どんな中学生でした?」,「歌手になっていなかったら?」,「恋愛相談」などであった。質問者の女子率が高かったですが…。
面白かったのが,「冷えピタ〜」の質問の時に,aikoは「おでこが広いのがコンプレックスで,だから前髪を伸ばしている」と答えたら,場内からは「見せて!」との声。aikoは前髪を上げて見せるが,ここで起こったのが「アンコール」,これには爆笑。結局,2・3度見せることに。
あと,「恋愛相談」では質問者の女子高生っぽく声色を使ってハガキを読んで,真面目に相談に答えていたが,最後になってハガキを出した後に別れたということを知って,かなりガックリしたaiko。こういうオチが有ったとは…。
「質問タイム」の次は「抽選会」が始まります。入場券の整理番号で何かが当たるという企画。それを聞いて場内から「ロッカーの中にチケット置いてきた…」と声が挙がる。aikoは「取っておいで,せっかくなんやし」と促して,彼/女らが取りに行ってる間,あれこれ喋ったり踊ったりして時間つなぎ。
その抽選会の商品は,3等がaikoのサイン入り写真を5名,2等がツーショットポラ写真を3名,1等がaikoの書いた特製色紙とポラ写真を1名というもの。当たる確率も結構高いのでみんな楽しみ。結果は,そのチケットを取りに行った人が当たったり,PVにも出演しているバンドマン(高校の後輩でファンクラ会員にもなっている)が当たったり,最後には特別にもう一品,aiko私物の「ラバーソール」が1名にプレゼントされたりと,場内は大盛り上がり。aikoも何か責任感を感じるらしく,番号を選ぶためにトランプを引く時にちょっと緊張しているみたい?
続いて,aikoが次のアルバムで「みんなの声を使いたい」ということから発案された,「ファンとの合同レコーディング」。これは大阪だけで行われる企画らしい。どうやら,ライブビデオが東京公演だったので,地元大阪のファンと一緒に作品を作り上げたいというaikoの意志から実現したらしい。
aikoの「せーの」の声を合図に,「イェーイ」,「aikoー」,「ピース」の3つのフレーズを録音。途中でミキサー(ディレクター?)さんの「もう少し大きく」,「短く」など細かな指示もあり本格的な感じ。使われるのは次のアルバムらしい。どのようになるか楽しみ。
録音が終わって,aikoが突然,「一緒に歌を唄いたい人!」と言う。もちろん多くのファンが手を挙げて声を出してアピールする。そして始まったのが「マイク争奪ジャンケン大会」。aikoとジャンケン勝負して勝ち残った者が,ステージ上でaikoと一緒に「桜の時」を唄う権利が得られるというもの。何回か勝負があり,途中で勝ち残りが居なくなるというハプニングもありながらも,男性ファンが権利を獲得。照明が落ちてバンドメンバーも再登場し,「桜の時」を歌います。「♪右手をつないで〜」のフレーズの所ではaikoと手をつないで腕を上下に動かしたりしています。きっと良い思い出になったことでしょう。
ステージからファンを見送って,「最後の歌になりました」,「みんなの前で初めて歌います」,そう先月リリースの新曲「初恋」です。最後はしっとりと歌い上げてイベントを締めます。
それだけでは終わりません。スタッフに「写真撮ってもいい?」と尋ね,ファンと一緒に撮影を行います。おそらく会報に載せる写真なのでしょう。aikoの「はいチーズ」の掛け声に合わせて,少しでも写り込もうと後方で立っているファンが手を上に伸ばしてジャンプしています。aikoは「なんかドーンって音がしてるで」,「何なに?」と少しビックリした様子。
ステージを去る前に,「ファンクラブに入るって抵抗が有ると思う…」,「どんな人がファンクラブに入っているのか…」,「客席も照明で明るいから顔も見えるし…」,「みんなと楽しむことができて嬉しかったです」などのような感謝を込めた挨拶があり,「シングル,アルバムを出してからライブします」,「夏に,絶対やります」と早くも次回のライブ告知がありました。そして,拍手と声援に送られてaikoは退場。時刻は午後8時50分頃。
BGMも場内に流れ係員が退場を案内,おそらく「アンコール」は無いことでしょう。ドリンクチケットを引き換え喉を潤していたら,場内の前方からアンコールを求める声が始まり,その勢いは弱まることなく続きます。そして…さほど時間を置くことなくaikoが再登場。全くの予定外のことだったようです。
aiko本人も驚いた様子,でも,とても嬉しそうな感じでした。一人だけで登場したので,歌を唄うもアカペラの即興曲でした。「今日はありがとう…」,「みんなと居られて嬉しい…」などというような内容だった記憶があります。これぞ「本当のアンコール」です。ファンも十二分に満足したことでしょう。
今回のファンクラブイベント,いつものような歌って飛び跳ねるライブというよりも,ファンとの間の「交流の場」を設けたという感じで面白かったです。自分がファンのアーティストが人気が出るのは嬉しいけれど,その代わりに物的な距離感が生まれてしまうのは否めないので(心的な距離感は変わらずとも),このようにファンとの交流を第一義としたイベントは,多くのファンのみんな,特に古くからのファンには喜ばれるものではないでしょうか? 「もっと歌を聴きたかった」という声も有るかも知れませんが,違うaikoの一面を見られる,もしかしたらaikoと話をしたり,写真を撮ったり,歌を唄ったりして一緒に思い出を作ることができる…そういう意味においても画期的なaikoイベントでなかったかと思います。
今後,各地で同じB.P.M.が行われますが,次の機会にもぜひとも行って欲しいイベント,そうであると感じました。


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