Love Like Pop 5


2000年12月20日 大阪・大阪厚生年金会館大ホール
1.ジェット
(MC)
2.桜の時
3.親指の使い方
(MC)
4.I’m feeling blue
5.私生活
(MC)
6.愛の病
7.密かなさよならの仕方
8.カブトムシ
(MC)
9.前ならえ(弾き語り)
10.光のさすあしもと(弾き語り)
(MC)
11.ボーイフレンド
12.相合傘―バンドバージョン―
13.mix juice
14.イジワルな天使よ 世界を笑え!
(encore)
15.恋愛ジャンキー
16.Power of Love
(MC)
17.ナキ・ムシ
今年2回目の生aikoは,今年最後の生aiko。全国ツアーの大阪公演2日目を見に行く。最近のチケット争奪戦の激しさが影響してか,今回は初の「ホールツアー」となる。キャパが大きくなって舞台演出等もどう変わるのか,それも期待の一つだったりする。
小雨の舞う夕闇の中,会場の大阪厚生年金会館へと向かい,開場時間の午後6時少し前に到着。既に入場は始まっていたが,混乱を避けるために係員が,隣の公園に一度並ぶように指示をしている。それに従い,5分ほど待って会場内へ入る。中はもう,人でいっぱい。「もぎり」の正面にグッズ販売コーナーがあり,パンフやTシャツ等のグッズを見ようと思ったが,ここでも順番待ちの列が階段をぐるぐる昇って待っている状態だったので,諦めて自分の席を探すことに。
階段を昇って2階席へ,そして,二重扉を開けホール内へ入る。ちょっと内部は煙っている。探し当てた席は,2階席の最前列。スタジアムで例えると,ライトスタンド的な位置から見渡す感じである。黒のステージ床面には「歌う犬?」のペットマークが白線で描かれ,1階席も開演を今や遅しと待つ人ばかり。aikoTシャツ着用,サンタクロース衣裳,レインボーアフロのヅラ…気合いが入ってます。それにしても始まる前にもかかわらず,とても暑い。コートとジャケットを脱がないと汗だくだく。
18時40分頃,ステージ上にスタッフが現れ機材チェックを始める。それを見て多くのファンが立って期待をふくらませるが,なかなか始まらない。一旦,座りなおしてほどなく,開演アナウンスとブザーが響き消灯。場内からは歓声があがる。真っ赤な照明が光り,続いてストロボが瞬き,眼がくらんだ次の瞬間,aikoがステージ上に出現。なんかイリュージョンを見せられたような感じがしたが,それだけで,もう場内は大盛り上がり。
1曲目といえば,もはやおなじみ「ジェット」。♪きっと飛べると思うんだ〜♪と,ファンも一緒に唄い跳ぶ。2階席・3階席もそのような状況なので,地に足が着いていない分だけ,その振動が身体によく染みる。まるで,波の高い時に高速船に乗っているといったような感じ。乗り物に弱いので酔いそうです。しかし,ステージ上で歌うaikoの全身は斜め下にはっきりと見えます。ライブハウスの時との大きな違い。
「ただいま〜aikoです」,「たっぷり楽しんで帰ってください」と,来場したファンに向かって軽く挨拶。続いて「桜の時」,「I’m feeling blue」。ピンクの照明が桜の雰囲気を出して綺麗です。本日のaikoの衣裳は,黒か紺色の「つなぎ」。袖や胸にはワッペンが貼られています。ガテン系ワーキングガールといった雰囲気でしょうか。髪も肩ぐらいまで伸びて可愛らしくええ感じです。
そして,「改めましてaikoです。ここでライブができて本当に嬉しいです」と,ご挨拶。aikoのライブも大阪江坂のブーミンホールから始まって,回を重ねて,今回,この厚年大ホール。aiko自身が何度も足を運んだこの場所で「自分のライブができることが信じられない」と,感激ぶりを話す。ファンからも「お帰り〜」,「aiko〜」,「かわいい〜」などとの声援が,毎度変わらず飛びまくっている。
「大阪のみなさんには,前からお世話になってる曲を…」との紹介で,唄うは「I’m feeling blue」。「私生活」も続きます。
次のMCタイムでは,出ました「紅白話し」が…ファンからは「おめでとう」との声が掛かる。aikoは,やっと「親孝行」ができたと嬉しいらしく,ファンファーレに合わせて踊ったりします。そのどうやら「ボーイフレンド」を唄うらしいが,歌詩中の「テトラポット」が,商標でNHK的にダメ出しされた,そのような報道が以前なされたが,噂というものは恐ろしいもので,知らぬ間に「aikoをテレビで放送禁止」,そこまで誇張されるようになったらしい。aikoも「ほな私にモザイクかかるんか?」と苦笑い。
あと,衣裳も「いつも1000円のTシャツばかり着てると思われて…」,「事務所に“ええ服”着させてあげて」,そのような電話もあったらしい。ちなみに紅白の衣裳は現在のところ未定とのこと。
「大晦日は自宅で紅白を見る,そして標準で録画してね」と,ファンに求めていました。また,先日リリースされたビデオ&DVDにも言及するが,ファンから「パスワード教えて〜」との声が。「あかん教えたらあかん」と叫ぶaiko,続いてライブ映像が東京だったことについて,「なんで大阪とちゃうの?」,という問いかけには,「会場の都合があったらしい…私も大阪がよかったんやけど」と裏話を暴露?
そのビデオの1曲目に収録されている「愛の病」から次は始まります。「密かなさよならの仕方」,「カブトムシ」と,ミディアム・スロー系2曲が連続します。唄い終わって,ステージ上にはキーボードが運ばれ,弾き語りの準備が行われます。
椅子に座ったaikoに対して,客席の歓声は止むことがない。その声を耳にし続けているaikoが鍵盤に手を掛け,♪ホンマにうるさいぃ〜,♪漫談しに来たんとちゃうんやでぇ〜,とアドリブで一曲演奏。場内爆笑。唄ったaiko本人も面白かったらしく,椅子から転げ落ちて壊れたように笑い転げる。にもかかわらず?「その衣裳“特攻服”なん?」,「前髪切った?」,「歌姫を唄って」などの声が,あちこちからかかるので,aikoは「うるさいっ,しゃべらして」,「TOP40で答えるから」などのように答える。しかし,なおもまた場内からの声が飛ぶので,諦めたaiko「よっしゃ,茶店トークしよ」,「えとなぁ〜歯が痛いねん」,「虫歯みたいやねんけど」,「神経抜いたのに痛いって…」と,くつろぎモード。客席からは「(その歯医者)ヤブとちゃうのん?」と合いの手が入るが,そうかもしれない。10年以上歯医者通いが切れない私が推測するに,歯髄が残っていて化膿したか,歯茎に炎症を起こしたか…歌い手なので歯や喉は大切に。
で,弾き語りは「前ならえ」,インディーズの頃から唄って「aiko自身の支え」となってる曲,「光のさすあしもと」。「光〜」は久々に,じっくりと聴きました。全員着席し,aikoの歌声に耳をかたむけます。弾き語りタイムは2曲で終了。バンドメンバーも再登場。ここから後半戦の開始。
aikoが客席を煽ります。「3階〜!」,「うぉー!」,「2階〜!」…とコール&レスポンスはすごい勢い。この勢いを保ちつつ,バンジョーの軽やかな音色が聞こえてきます。「ボーイフレンド」が始まります。続いて聴きなじみのないイントロが…何かな?と思いきや,バンドバージョンの「相合傘」。この歌が聴けるとは思いもよらず。今後もライブ専用の曲として唄って欲しいです。さらに盛り上がって「mix juice」。いつものように途中でバンドメンバーの紹介もあります。キーボードの「たつたつさん」?が,なんと「くいだおれ人形」(大阪プロレスの「くいしんぼう仮面」),そのコスプレをしてステージ前面に登場しパフォーマンス。大阪らしい演出です。
aikoの「最後の曲です」,「もっと盛り上がって」と言いつつ,最後の曲「イジワルな天使よ 世界を笑え!」,この曲を会場のファンと一体になって大熱唱。もちろん「お約束」もありました。もう,この「お約束」はaiko全員が知っているに等しいので,2000人近い人数での様子は見ていて圧巻。最高潮の盛り上がりを見せ,aikoとバンドメンバーは退場。時刻は8時20分頃でしたでしょうか。
でも,会場内の熱気はまだまだ冷めていません。あちこちから「アンコール」や「aikoコール」が出ています。しばらく経って,再度,aikoたちがステージ上に登場。拍手と大歓声が迎えます。皆,ツアーグッズの赤いTシャツを着ており,黒いステージに赤い色が鮮やかに映えています。
まず,アンコールの1曲目は「恋愛ジャンキー」。そして,「アンコールありがとう」,「あとちょっとだけ楽しんで」,という言葉に続けて「Power of Love」。この2曲で盛り上がりは再び高まる。
歌唱後,aikoが語ります。「ここでライブができたこと本当に信じられません」,「嬉しいです」,「それを思うと“あした”でデビューしたことは良かったです」,「大阪でしか売れなかったのですが」。確かにデビュー曲は,売り上げのほとんどが大阪を中心とする関西だったということでしたが,それが無ければ,今のaikoは存在しないわけですから,もっともなことです。
「でも,それと同じぐらい,この曲も…」,「最近,CMでも流れていますが…」。というわけで一番最後の曲は「ナキ・ムシ」。これまでの熱気をクールダウンさせるが如く,じっくり聴かせます。場内,ただただaikoの歌声が響きわたります…。
一番最後に,バンドメンバーとともにステージ全面に出て,ファンに深々と頭を下げて御礼。つないだ手を上にあげて歓声に答えます。あまりに上げすぎて,捕まった宇宙人みたいになったり…。「またすぐに大阪でライブしたい気持ちです」などという言葉を残して,「さよなら,バイバイ」と退場。8時40分過ぎ。全予定は終了。
aikoにとって,そして,ファンにとっても初めてのホールライブになるこのツアー。これまでのライブハウスでの公演とどうちがうか楽しみだったが,基本的なことは変わらず,盛り上がりも上々。個人的には椅子のあるのが嬉しいです。途中でゆっくりと弾き語りを聴くこともできますし。あと,ライブハウスと違って座席が傾斜上に並んでいることから,たとえ立ち上がったとしても,ある程度の空間が確保できるので前後左右から押されて気分が悪くなったり,前が見えなかったりすることが,大きく回避できるということも,ホールライブの大きな利点と感じた。
ただ,ステージまでの距離感,そして,盛り上がりの一体感が,これまでよりも遠くて希薄になるという感もしなくもないが,より多くの人が同じ空間を共有することができる,それを考えると以前に戻るのは難しいような…。物理距離と心象距離の差を如何に埋めるかの作業がお互いに求められてくるような気がしますが,まあ,ファンはどこであったとしても,その場その場で最大限に楽しむとは思いますが。特に関西でのライブ・イベント出演は激減したので,生で見られるだけでも嬉しいですね。


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