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CONCERT


2000年06月17日 兵庫県・高砂市文化会館
1.アドバイザー(grandpiano:おのまきこ)
2.赤い自転車(grandpiano:おのまきこ)
3.植物園北門前(grandpiano:おのまきこ)
4.〜こたつと毛ガニの巻〜(grandpiano:おのまきこ)
5.おやすみのうた(grandpiano:おのまきこ)
6.月(grandpiano:こじまいづみ)
7.ひまわりの花(grandpiano:おのまきこ)…新曲
8.forever friends(grandpiano:おのまきこ)…洋楽カバー(誰の?)
9.祈り(grandpiano:こじまいづみ)…新曲
10.A lot of money(grandpiano:おのまきこ)
11.あ〜よかった(grandpiano:おのまきこ)
12.ずっと一緒に(grandpiano:おのまきこ)
13.雨の雫(grandpiano:こじまいづみ)
(encore)
14.あなたに逢いにゆきましょう(grandpiano:こじまいづみ)
15.HEART(grandpiano:こじまいづみ)
花*花の故郷,兵庫県高砂市での凱旋公演。3月からチケットを発売していたが,少し距離があるので郵送で入手。このチケットが,単にプリンタで印刷されたものではなく,顔写真まで入った使うのがもったいないようなもの。同封された座席表を見るとド真ん中の位置だが,これだけは現場を見ないと判らない。そんなこんなで,雨の中いざ出陣。
高砂市のある播磨地方は,実は私の調査研究の対象フィールドの一つでもある。土建屋地理学の一環で,高砂港や姫路の飾磨港の港湾整備をネタに論文を書こうと,2・3年前に何度か高砂・加古川方面の図書館に,資料を漁りに行ったことがある。特に高砂は中世からの港湾都市で,鉄道の影響による高砂港の衰退,工場立地や東播の大河である加古川の改修に絡み,戦後の高度経済成長期に行われた,沿岸部埋立に対しての環境保護運動として入浜権の主張が行われたり,研究ネタには事欠かない,なかなか面白い街だったりします。まさか,その高砂出身のアーティストのファンになるとは思いもしなかったのですが…。
山陽電車の阪神直通特急に揺られて1時間20分ほど,加古川を渡って高砂駅へ到着。以前に,この駅を降りて駅前を散策したことはあるが,今回は開演まで時間もあるので,少しばかり旧市街の方に足を向けてみる。ショッピングセンターを抜け「銀座商店街」を通り,高砂神社をまわって堀川沿いを歩いて文化会館へ。途中には,かつての賑わいを彷彿とさせる,古い建物や蔵が残っていたり,味のある高砂市商工会議所の建築を目にして,歴史を感じさせる町並みを観察しながらブラブラ歩いていると,雨が強くなってきたので,会場へと急ぐことに。
高砂市文化会館へは午後5時半頃到着。6時半開演なので,そろそろ開場か?と思いきや,6時開場らしい。雨に濡れてカゼをひかないよう気を付けながら30分ほど待つ。どうやら当日券も発売される様子。で,6時になり,雨が降るなか混雑しているため,「自分で半券をもぎって」入場。入口正面にはグッズ即売コーナーがあり,そこには,「廃盤」になってしまったインディーズ時代?のCD各種,チビTシャツ,そして,携帯ストラップがならんでいた。最近,景気が上向いてきたので,携帯ストラップと花*花チビTを入手してから,客席へ入る。
私の座席は1階お列29番。探して座ってみると絶好の位置。場内中央の通路が目の前で,ここから1段高くなっており,なおかつステージ中央に置かれたスタンドマイクの目の前。これはなかなか,ええ感じ。視線が合うという“錯覚”も生まれそう?
ステージ上には,ドラムやギター等の楽器一式が置かれているので,久々のバンド花*花ですね。グランドピアノも置かれているが,中央寄りに置かれているので,ピアノを弾く姿もバッチリ見えそう。席について開演の6時半を待つが,ここで気付いたのは,見に来ている人の多くは,何らかの知り合いのようだ。あちこちで「久しぶり」との声が飛んだり,お互いに挨拶を交わしている人を何人も見かける。まるで「同窓会」会場のような雰囲気。
客層は,お2人の同年代の女性が多いような感じがしましたが…。年輩の方も多数来られているようでした。「来賓」かな?老若男女バラエティに富んだ観客が,開演を今か今かと待っています。
6時半頃にブザーが鳴り,6時40分頃に照明が消えバンドメンバーがスタンバイ。そして,お2人がステージ上に現れ,花*花の凱旋公演がスタート。「こんばんは花*花」ですの声と共に唄うは「アドバイザー」。引き続き「赤い自転車」,この歌の終わりの方で「ただいま〜」(おのさん),「楽しんでってください」(こじまさん)と言い,そのまま「植物園北門前」と,オープニングから立て続けに3曲を熱唱。
本日の衣裳は,こじまさんが黒のタンクトップに黒のスカート,髪を両耳の上で束ねて可愛らしい感じ。おのさんが黒のキャミソールに白・水色・黄色とカラフルな模様のキャミソールを重ね着。ボトムは黒いパンツ。お2人とも足元はサンダル(ミュールってやつかな?)でした。
歌唱後,改めて「こじまいづみです」,「おのまきこです」と,皆さんに御挨拶。客席を見てこじまさん「知り合いばっかり」。そして,「普段の私たちは知ってても“花*花”のライブは知らないのでは?」,「ライブのノリが判らない年輩の人は…」と,ここでオバさんトークが繰り広げられ,「ちょっと奥さん,どないしたらええのん」,「さあ,拍手するんと違いますかぁ〜」,「そおですかぁ〜」,などのような掛け合い漫才的会話があり笑いを誘う。
また,「このステージは,高砂市合唱団で慣れ親しんだ…」,「私だったら自転車でも来れる」(こじまさん),「実家から車で来た」(おのさん)ということらしいです。お2人がよく使われる表現の「庭」っていうものなのでしょう。
「この高砂公演にはバンドメンバー“愉快な仲間たち”も連れてきました」,「準備を宜しく」とこじまさんが言うと,3人が手にリコーダーなどの楽器を持って前に出てきます。それを見て客席からは「頑張れ〜」との声も飛んだりする。このシチュエーションは,そう,「季節はずれなんですが…」(こじまさん),「〜こたつと毛ガニの巻〜」です。失敗することなく演奏は無事終了。技術は着実に進歩しているのでしょう。
歌唱後,こじまさんが「私たちはこの“こたつ〜”でデビューして,高砂から飛び立ちました」と言うと,おのさんは,「その頃,まだ高砂に居て通ってた」と答える。それから話しはこのライブの宣伝ポスターへと移り,顔写真の下に名前が書いてあるけど,そこに“出身町名”まで書いてあるのは,「ホンマのこととは言え,恥ずかしい…」などと話すこじまさん。確かに,細かい町名まで出されると,身ぐるみはがされた気分かもしれませんね。
続いて「おやすみのうた」を唄い,バンドメンバーは退場。ここからお2人だけの「しっとりタイム」の始まりです。こじまさん曰く「チーム高砂」のステージが,しばらく続くようです。位置を交代し,おのさんがマイク前に。そして一言「やっと正面を向くことができた」。確かにそうですね。おのさんはチラチラ客席を見ていたようですが,ピアノを弾いていては,こちらからは横顔しか見えませんから。おのまきこファンの私もようやく姿を見ることが出来ました。「高砂で作った曲です…ごく一部の方にしか判りませんが…」との話しの後,唄うは「月」。
歌唱後,ステージ上手からギターの「あだちくみ」さんが登場。「ギターの人かっこいいですねと言われていますが,彼女は女性です」と紹介し,女子チームで次の曲を演奏することに。その前に,こじまさんが,「小学校の時に花を育てて…何の花やったかな?チューリップだったかな?」,自分の身長ぐらいの高さを示しながら「他の人はこんなに大きかったのに…」,それと比べて「私のはこんなにちっちゃくて…」と,全く育たなかった事を話すと,おのさんが「それはヒマワリ,そんな背の高いチューリップはない」と,厳しいツッコミ。でもって,こじまさんボーカルの新曲「ひまわりの花」を唄う。
しかし,ホンマにかっこよかった,あだちさんのギター演奏は。この歌はほのぼの系ですね。赤い自転車のように「NHKみんなのうた」で流れても,不思議ではないような気もします。
この1曲のサポートのみで,あだちさんは退場。こじまさんが「客電付けて下さい」と言い場内が明るくなる。こじまさんが「おのまきこを個人的に・プライベートで知ってる人」と尋ねると,少なからぬ手が挙がり,逆に「こじまいづみを知ってる人は?」と尋ねても,これまたあちこちから手が挙がる。
まるで身内の集まり?私の近くに居た人も手を挙げていたので,きっと同級生だったのでしょう。そして,歳も24・25歳になると「お年頃」なので,同級生が結婚・出産したりして,その報告が最近よく届くので,「そんな話し私にはないのに,焦ってしまう」(こじまさん),「縁というモノがあるから…」(おのさん)などと話していると,最後には「どこが“ブライダル都市高砂”やねん」と,こじまさんの鋭い切れ味のツッコミが入る。
これには場内大爆笑。確かに,誰が最初に提唱したのかは知らないが,山陽電車高砂駅前には「ブライダル都市高砂」と書かれた看板がありました。
その友人達から花やメッセージをたくさん貰ったので,そのお返しのプレゼントという意味を込めて「forever friends」。続いて,おのさんボーカルの新曲「祈り」。この歌は,壮大な感じがしますね。初めて聴きましたが,歌詞とおのさんの声が合い,惹きつけられました。CD化希望に一票。これでもって,「チーム高砂」のステージは終了。バンドメンバーが再登場し,ステージ下手からは,例の羽根ショールを持った係の方も現れる。
「ありがとう〜」などとこじまさんが話し,「私が一人盛り上がるのは恥ずかしいから,みんなも立ち上がって一緒に!」と言うと,散発的に立つ人が出てきたが,それでも不満そうな?こじまさんは,「高砂のみなさんに“ライブのノリ”を,教えてあげる」,「立ってええねん,さあ立って立って!」と,観客に立ち上がることを要求。これで多くの人が立ち上がって見ることに。
また,この立ち上がってステージを見ることについて,こじまさんが「コンサートを見に行った私のお母さんが…」,「アンコールでみんなが立ち上がった時…」,「何で立つの?見えへんでしょう」と言ったというエピソードも紹介。
「次の歌はCDには出来ない曲で…」という言葉に続けて,「京都は市民税が高くて…」(こじまさん),「大阪も…」(おのさん),それに比べて高砂は安く水道料金も「日本一安い」そうです。「高砂に戻ってこようかなぁ」とも話されていました。人口10万弱の規模で,あれだけの大企業が立地していたら,税収面では恵まれてはいますね。
「曲名は,A lot of moneyといいます」と紹介した後,客席に居た知り合いの人に向かい,「その意味は?」と尋ねるこじまさん。「お金がない…」などと答えたその人に対し,こじまさん「彼は英語の成績が…」と,この辺り完全に内輪ネタ。そうこうしてようやく,「A lot of money」を唄い,気分的に儲かった後,「ここ(高砂)で,これを歌うのが夢でした」と,抱いていた気持ちを話し,こじまさんが目一杯「あ〜よかった」を唄う。もちろん,客席も一緒に「あ〜よかった」と。
歌唱後,こじまさん「またここでやりたいですね…大阪・神戸が遠いのは身に染みて判るので」,おのさん「東京でも九州でも,播州弁のままで頑張ります」などと話し,「ずっと応援して下さいね」という気持ちを込めて,「ずっと一緒に」,そして,おのさんにボーカルを交代して,最後の曲である「雨の雫」が続く。ステージを後にする時に,友人方からたくさんの花束やプレゼントが渡されていました。地元ならではの光景です。
拍手で見送った後も,アンコールを求める声は鳴り止まない。しばらく経ってから,再度ステージ上へ登場。おのさんは,赤の花*花Tシャツ,こじまさんも,紺の花*花Tシャツに着替えています。
ステージに上がるや否や,下手から合唱団の方たちが登場し,お2人に花束の贈呈。それも抱えられないぐらいたくさん。花束を手渡した合唱団の制服を着た女の子の姿を見て,「制服が可愛くなってる」,「ピンクのベレー帽なんてなかった」,「あの子たちも将来,私らみたいになってたりして…」などと話す。
「あちこちでライブをしますので,ぜひ“逢いに”来て下さい」との触れ込みの後,歌うは「あなたに逢いにゆきましょう」。そして,今度が本当に最後の曲。おのさん「しっとりと終わりたくない!はじけたい!」,こじまさん「無礼講や!」ということで,「HEART」を熱唱して全予定終了。時刻は8時10分過ぎ。
演者にとって地元・出身地での公演って,どんな心境なのでしょうね。嬉しいような,でも,少し怖いような…ってとこでしょうか?最後の最後で,こじまさんが涙していましたが,やはり地元での公演はいつも以上に思い入れがあるのでしょうね。「同窓会」的な雰囲気が強かったので,その辺のことは全く知らない私は,最初は妙な感じがしましたが,後から思うと,「オブザーバー参加」をしたみたいで,それなりに内輪ネタも楽しむことが出来ました。単なるお仕着せっぽい「同窓会」ではなく,自分の知ってる人が出演しているステージを,みんなで見に行くって,いいことですね。まあ,こういう機会はやたら滅多,そこらへんに転がっているものではないですが。
盆と正月の帰省というのと同じように,毎年,地元高砂での公演ってのを,ぜひ続けていって欲しいですね。「おのまきこ,こじまいづみは,今年はこれだけ成長して帰ってきました」と,知り合いの方々に披露する場として。回を重ねれば,いつしかそれが高砂の「名物行事」になったりして…。


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